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教職の現場で進まない民間雇用。教員の働き方改革は急務

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2022年7月19日の日本経済新聞の朝刊にて、現在の日本の教育現場についての記事が書かれていた。内容は、教育現場での民間起用が進まずに、現行の教職員の負担は増すばかりとのこと。教職員の民間起用とはどういうものなのか。

一般的な教員免許は大学の教職課程で必要な単位を取得した人に都道府県の教育委員会が授与するものである。この過程を経ずに教師としての資格を持つことが出来る。それが1988年に創設された特別免許だ。特別免許とは、教職課程を経ていなくても、優れた知識や経験があり教職員にふさわしいと都道府県の教職委員会が認めた人に与えられるものである。これは、市町村や私立学校からの申請や推薦された人らが対象で、学力試験などを踏まえて判断される。

2020年の授与件数は、小中高合わせて237件。その内容は外国人の英語教師や高校の看護などが大半で、幅広い分野にまでは至っていない。全国の教員が約18万人に対し、特別免許の教員は237と非常に少ないため、政府の規制改革推進会議は5月に特別免許を増やすように求めた。なぜ、ここまで民間起用がすすまないのか。その原因の一つとして、教育現場の労働環境も民間人材が教員の現場に踏み入れない要因となっている、教育現場は事務負担が重く、6割の中学校教員は2021年6月の時間外勤務がなんと45時間を超えた。これは非常に多い。教師の給料はこのような、時間外勤務いわゆる残業を考慮すると給与水準は低水準とされ、成果に応じた報酬も乏しい。

今現在、ITの技術進化は教育現場にも浸透している。世界のIT化が進んでいる中で、日本もIT教育の充実化を推し進めているが、その実情は理想とは程遠い。。。「プログラミング」を扱う「情報」の授業について、教員は約5000人のうち2020年時点で1000人近くは「情報」の免許を持っていなかった。これはまさに日本のIT化に対する浸透具合が進んでいない証拠であり、日本人の大半はITが身近にないのである。

逆にこの状況はこれからを変えるためのチャンスともいえるのではないか?IT分野に特化した特別免許の職員を多く採用すれば、現場の負担は軽くなり、教育現場のITのレベルも上がると考えられる。

しかし、そう上手くはいっていないのが現実である。特別免許の資格付与の権限を持つ都道府県教育委員会がそれに積極的ではない。文科省の2021年10月の調査では特別免許を求めるところは47都道府県のうちなんと6!!これは本当に少ないと感じる。新しいものを導入するのがめんどくさいというか、前例主義を重んじるところが多いのではないかと考えられる。

こういった中でも、大阪市などは理系の博士号を持つ研究員を教員として市立中に配置する方針を打ち出しているが、こうした動きはほんの一握りである。

これに対して、海外の特別免許の教員は多い。中学教員の状況を調べた経済協力開発機構(OECD)が調べた調査によると、異業種で働いたことのある期間がキャリアに占める割合はスウェーデン24%、イギリス26%と全体の2割を超える。大半が大卒一括採用の日本は5%と低い。イギリスなどは、新卒に加えて社会人採用を柔軟に雇用し、民間との間で人材の流動性が高い。また、オランダは免許がなくても現場で経験を積めるし、その上お給料をもらえる!!これはモチベーションにも繋がるだろう。

日本教育現場が重労働である要因は、教員の少なさと業務多寡の重労働にあるだろう。教育とは何よりも大切なものであり、日本が成長し続けるためにも必要不可欠なものである。この現状を打破するためにも、柔軟な対応と思い切った制度転換が求められる。