子育ては思い通りにいかないことの連続です。
その中で、親も大きなストレスを感じてしまい身体を壊してしまったり、子どもにきつく当たってしまったりといったこともあるのではないでしょうか。
しかし、子育てにおいて子どもの発達の特徴やその時期によくある悩みを知り、また、同じように悩んでいる人がいることを知ることで、自分一人だけではないと思えて少しでも気持ちが軽くなるかもしれません。
この記事では、そういった子育てに関する悩みを共有できればと思います。
また、そういった問題に対しカウンセラーとしてどのような対応をするべきなのか。
カウンセラーの資格取得を目指す筆者の学びのためにも書いていますのでご承知おきください。
・子どもの発達 新生児から青年期
・乳幼児期によくある悩みとは
・児童期によくある悩みとは
・青年期の悩みとは
子どもの発達
子どもの「発達」とは、赤ちゃんがハイハイからつかまり立ちをできるようになったり、言葉を話せるようになったり、ご飯を食べれるようになったり、などなど、、子どもは一日一日すごい速さで成長していきます。
心理学の世界での「発達」とは
態度や行動が変化すること、未分化の状態のものが分化していく過程
と位置付けられています。
成長の段階で様々なことを学んでいく中で、一つの価値基準でしか考えられなかったものが、知識が増えたことにより様々な角度から思考することが出来るようになること。
例えば、思考が未分化(複雑)なために、何事においても怒っていたが、分化(単純)して物事を考えれるようになったことから、物事を整理して考えれるようになり怒ることが減った。などです。
子どもの発達段階
新生児期:誕生~4週まで
乳児期:4週~9か月まで
乳幼児期:9か月~2歳まで
幼児期:2歳~6歳まで
児童・学童期:6歳~12歳まで
青少年期(思春期~青年期):12歳~18歳まで
新生児期から幼児期
生きるためには保護者の支援が必要不可欠な時期です。
この時期にハイハイから歩くようになり、言葉を話すことが出来るようになってきます。
子どもは「泣く」という行動で自分の意志を表現します。この時に、抱っこしてあげたり笑顔やいい声かけをすることで、子どもだけでなく親にも心理的にプラスの作用が働きます。
児童・学童期
小学生の年代を指します。この時期の子どもは、それまで親に注がれた愛情によって身体・精神面のコントロールをある程度できるようになり、思考力も発達していきます。
学校という集団に身を置くことで、他人との関係性を意識して生活する経験をして、対人関係の築き方も学んでいく時期です。
その中で、自己肯定感や劣等感、思いやり、共感などを知る時期でもあります。
青少年期(思春期~青年期)
12歳~18歳を指し、この時期は思春期真っ盛りの時期です。
身体面では大人へと近づいていき、精神面では自分はどのような大人になるのだろうと真剣に考えだす時期でもあります。
中には自分という存在について深く考え、苦しんでしまう子どももいるでしょう。
「子どもでも大人でもない時期」でとても不安定な時期ですが、大人になるための非常に重要な時期でもあるのです。
発達の課題
子どもは成長していく中で多くのことを学び発達していきますが、その速さには個人差があります。子どもはどのような傾向で発達していくのかを知れば、より子どものことを理解することが出来ますし、子育てのストレスを軽減できるでしょう。
・乳幼児期:好奇心の制限、仲間との遊び、愛着関係の形成
・児童・学童期:劣等感との戦い
・青少年期:自分を独立した一人の人間として認識すること(同一性の確立)
乳幼児期
発達課題は乳幼児期から設定されます。
・子どもの問いに対してしっかりと耳を傾ける
・遊びの中で人間関係を学ぶ
・子どもの人格を形成するには親からの愛情が大きな要因となる
好奇心の制限
1歳をこえると自分で歩けるようになり行動範囲も広がっていきます。さらに成長すると様々なことに興味を持ち始めて、子どもの探究心は深まっていきます。
そうすると「なぜ?」「どうして?」という質問を頻繁に質問してくるのです。
このときに注意しなければならないのは
しっかりと子どもの問いに耳を傾けあげることです
同じような質問や当たり前なことを聞いてきますが、子どもは決して親を困らせようとしてそのような質問をしているわけではありません。
まだまだ「やっていいこと」「やってはいけないこと」の区別がつかないばかりか、そのような概念も乏しいでしょう。
その時に、親はめんどくさがったり、おざなりな対応をすることは子どもとのコミュニケーションの場を奪うばかりか、子どもの人格形成にも大きな影響を与えてしまいます。
この時期の子どもはそういうもんなんだ。ということを理解し、しっかりと対応してあげましょう。
仲間との遊び
子どもは遊びを通して様々な生活能力を習得します。
1人遊び→並行遊び(~3歳)→連合遊び(~4歳半)→協同遊び(4歳半以降)
というように子どもは成長していく段階で、遊びにかかわる人の数も多くなっていくわけですが、その中で遊びの中に自分以外の誰かが存在していること
すなわち、遊びの中で人間関係を学ぶのです
人間は一人では生きていけず、大きくなれば他人と関わって生きていくことがほとんどです。子どこが嫌がっているのに、無理に友達と遊ばせる必要はないかもしれませんが、そういった場合は、少しずつでも家族以外の他人との関りを持てる機会を提供していきましょう。
愛着関係の形成
子どもが伸び伸びと安心し、純粋で自由な行動をするためには、親子間の愛情関係が構築されていることが必要です。
子どもは親から愛情を注がれ、大切にされている。という感情が大きいほど、自分だけでなく他人にも優しくすることが出来ます。
常日頃から、子どもに愛情を伝えて安心感を与えてあげることが大切です。
児童・学童期
小学生は「思春期」の準備段階ともいえる時期です。学校の成績や友人関係が生活の主なものになってきたりと、何かと悩むことも多くなる時期でしょう。
・他人と比べて劣等感を感じている子どもは、親の接し方で更に自信を失ってしまう可能性もある。子どもの話を聞き、自信を持たせるような話をすることが大切である。
劣等感との戦い
上記でも述べたように、学校生活が始まると学校の成績や友人関係など、考えることが多くなります。
乳幼児期の頃は、ほとんどのことが思うようにいっていたことが、自分の実力を思い知ったり他人と自分を比べることにより
「自分はダメなんじゃないか、、、、」
と劣等感を感じてしまうことがあるでしょう。その結果、自己肯定感が育ちにくくなり、その後の人生にも大きな影響を及ぼしてしまう可能性も出てきます。
そのように子ども悩んでいたならば、そのことをくみ取り話を聞いてあげましょう。
この時に他の友人と比べて自分の子どもを叱ったり、できないことを責めるような発言は子どもの自己肯定感を大きく下げてやる気を奪うばかりか自信を失ってしまいます。
「自己確立」に影響を与える時期だからこそ、親としてはしっかりと褒めてあげて、正しい自己評価と改善を子どもと一緒に優しく考えてあげることが重要になるでしょう。
青少年期
自分という存在が社会の中でどのような存在なのか考え、悩む時期です。
社会で生きていくために自分の存在について考えて、大いに悩む時期。
この時には、四苦八苦し迷走することもありますが、親は子どもが不安定な状態であることを受け止め、環境作りをしてあげることが重要。
自分を独立した一人の人間として認識すること(同一性の確立)
ほんとうに悩むことが多い時期ですが、混乱しすぎると「自我同一拡散」が起きてしまうこともありますが、これを乗り越えて自分の存在価値をみつける時期でもあります。
この時期は、自分というものが分からずに悩む時期ですが
家族以外の人間関係の中に、安定した自分の居場所を確立することが重要です
親としては心理状況を理解することに徹し、子どもの環境作りを手伝う姿勢が大切です。
また、この時に自分でやる力を着けることも大切なので、程よい距離感を保って協力しましょう。
人が成長し、新たなアイデンティティー(自我)を再構築するうえで、「自分が何者であるかわからなくなってしまった」「自分がバラバラに感じられる」という状態に一時的に陥ってしまうこと。
子どもに関する悩み
夜泣き、言うことを聞かなくなる、落ち着きがない、不登校、、、
子育ての悩みは本当に尽きません。この悩みを知り、自分だけで解決しようとせずに周囲の人や専門家に相談し頼ることも大切です。
・乳幼児期:夜泣き、自閉症、トイレ、同胞葛藤
・児童期:不登校、チック、ADHD、LD
・青少年期:いじめ、ひきこもり、家庭内暴力、自傷行為
乳幼児期
夜泣きや寝つきが悪い、言うことを聞かない、などは親としても精神的にも体力的にもしんどくてノイローゼになってしまうこともあります。
また、悲しいことですが子どもの虐待死はこの年代が多くを占めています。
精神的・身体的に追い込まれる時期であることを理解し、周囲に頼ること、同じような悩みを抱えている人がいることを知り、コミュニティーへの参加や専門家への相談も検討しましょう。
夜泣き
子どもは「泣く」ことで自分の意志を表現しますが、精神的に不安定な子どもは夜泣きが続いてしまいます。時には子どもが目の届く範囲で「放置」し、自分の気持ちを落ち着かせることも必要です。
このような夜泣きのケースでは。クライエント(親)が子育てから少しでも開放される時間を作ることがよい場合もあるので、レスパイトサービスの情報を集めていくことが必要です。
また、家族のサポート力を高めるために、家族全体を対象としたカウンセリングが効果的になります。
乳幼児、障がい者、高齢者などのケアを一時的に代行するサービスのこと。
自閉症
コミュニケーションの障害、強いこだわりを持つといった特徴の見られる発達障害の一つです。(脳機能の発達が不全となる先天性の障害)
自閉症は「治療して治る」ものではありません。成長とともに本人が社会の中で適応する力を身に着けることが大切になります。
・人への関心が乏しい、意志を上手く伝えられない
・質問にオウム返しをする
・協調性の欠如、友人関係が作りにくい
・こだわりが強く、意志に反するとパニック状態に陥る
自閉症の子を持つ親としては、子どもとの接し方が分からずに子育てそのももの自身がなくなりストレスを子どもにぶつけてしまう人もいます。
カウンセラーとしては、そのような悩みに対し「話をしっかりと受け止める」「同じ障害を抱える子どもの親の会を紹介する」などの対応が求められます。
トイレ
トイレトレーニングは主に2歳から3歳の間の第一次反抗期に始められます。
この時期は親からの強制をひどく嫌がる時期でもあり、親としても苛立ちを感じてしまうことも多いでしょう。
また、子どもは「自分でやりたい!」という気持ちも強く、やらせた結果、トイレを汚してしまうということもあります。
この時は、本当にイライラするし子どもを責めたくなるでしょうが、子どもが失敗してしまう理由を考えて、できたことが少しでもあれば褒めてあげましょう。
カウンセラーとしては、心理的要因だけでなく身体疾患が原因でトイレを上手くできない可能性も考慮し、専門の医療機関への紹介も視野に入れること。
そしてなにより、頑張っている親を労い心に寄り添う姿勢を持つことが必要になります。
同胞葛藤
いわゆる「赤ちゃん返り」です。
いままで、独占できていたお母さん、お父さんを取られたと思い、わざとお漏らししたり腹痛・頭痛などの身体症状が出ることもあります。
親や周りの大人、年の離れた兄弟などは、そのような行動に対して叱責するのではなく、受け入れて抱きしめてあげましょう。
幼児期の子育てする側は、自分が試されているように感じることもありますが大丈夫です。
誰もが通る道であり、一人ではないので抱え込まないようにしましょう。
児童・学童期
学校に通い始める時期になると、対人関係の悩みも出てきます。また、身体の成長も進み様々な身体症状も出てくることもあります。
不登校やチックは、精神的な理由だけでなく身体的な理由も考えられます。親としては、子どもの思いを大切にしつつ、必要なら医療機関を受診することも考えましょう。
不登校
不登校になる理由は様々です。
対人関係、勉強が面白くない、周りに馴染めない、親から離れたくない、などなど。
これらが単独で不登校の理由になっているわけでなく、複数の要素が原因になっていることもあります。
不登校になれば、親も非常に辛く、自分の子育てが悪かったのか?この子はなんでこんなにダメなんだろうと思うかもしれませんが、そのような時には自分一人で解決しようとせずに、専門の機関への相談も検討しましょう。
不登校は誰にでも起こりうることです。
そういった状況になってしまったのは、「できないから」「努力していないから」ということではなく、「努力の結果そうできなかった」という子どもの背景に寄り添い、決して決めつけることなく優しく接することが必要です。
チック
チック症とは、突発的、反復的、常同的に運動、発生をすることです。
瞬きが異様に多い、常に顔を動かしている、汚い言葉を突発的に発する、など。
この要因としては、心理的緊張なストレスがチックを引き起こしている可能性があります。この症状は、ストレスを多く感じている大人にもあるのではないでしょうか。
子どもがこのような動きをしていたら、そのことを問いただすのではなく、「チック症かもしれない」ということも考慮し、まずはいいところを褒めてあげましょう。
カウンセラーとしては、心理的な理由だけでなく、遺伝的な理由も考えられるので必要なら専門機関への相談も考慮しましょう。
ADHD・LD
発達障がいは多岐にわたり、その症状も様々です。子どもは全く悪気が無く、動いてしまったり突然教室から出ていってしまうなど周囲には考えられないような行動を取ることがあります。
この時に、「あいつはおかしいやつだ」と卑下するのではなく、親や教育者はADHDである可能性を考慮し、子どもの心を落ち着かせ障がいと向き合うための方法を一緒に考える姿勢が必要になります。
LDに関しても、子どもは一生懸命に勉強しているのに、全く成果が出ない自分を責める傾向にあります。この時に、できないことを責めるのではなく、傷ついた子どもの心を受け止めて、得意を伸ばすようなアプローチをすることも大切です。
とにもかくにもそのような障害があることを知ることが大切です。
「なんで自分の子どもが。。。」
と辛くなってしまうこともあります。
このようなクライエントが相談してきたら、辛さは自分一人で抱え込まずに、同じような悩みを持った人との交流の場があることを伝える。
どうしたいのか?どうすればよいのか?を一緒に考えることが大切です。
ADHDは年齢、発達に比べて注意力が足りない、衝動的で落ち着きが無い。などの特性があります。
LDは文字を読んだり、書いたり、数字を使った問題などが苦手。極端にできない、遅いというケースもあります。
これらは、大人になっても続く傾向がみられ、はっきりとした原因は分かっていませんが、脳の成長に偏りがあることが考えられています。
青少年期
身体的、精神的にも成長していけばそれだけ悩みも大きくなります。
問題の解決を急いでしまうと、逆に事態を悪化させてしまうことがあります。辛いですがまずは現状を受け入れ、親や周囲の大人も一人で問題を抱え込もうとしないことが大切です。
いじめ
いじめとは、一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加えた結果、相手が深刻な苦痛を感じている状態です。
いじめ問題は社会的にも非常に大きな問題であり、悲しいニュースは後を絶ちません。
いじめとは、「いじめられる人」「いじめる人」がいることで成り立つものですが、自分の子どもがどちらかになってしまうこともあります。
いじめられた子は、自己肯定感の低下、他人を信じれないなどの状態に陥ります。
いじめた子は、優越感に浸りたい、ストレスを発散したい、人との接し方が分からない。イジメる理由としてはそのようなことが考えられます。
カウンセラーとしては、双方の背景を理解することに努めて支援に当たりましょう。
ひきこもり
引きこもりになってしまった場合、家族の一員が引きこもる事実を「恥」と感じてしまうことがあります。
当事者だけでは解決することは非常に難しいため、周囲に助けを求める、必要なら精神科などの医療機関に助けを求めるなども考慮しましょう。
家庭内暴力・自傷行為
この問題は子どもだけでなく、子育てする夫婦にも起きてしまうことがあります。また、夫婦間での争いを見て育った子どもは、他人に同じようなことをしてしまったり、精神的に不安定な状態に落ちってしまう傾向にあります。
また、自傷行為により自分を構ってほしいという衝動に陥りそれが常習化してしまう可能性もあります。
なによりも大切なのは「命」です。
カウンセラーとして、家庭内暴力も自傷行為もクライエントの命に関わる危険で深刻な問題であるということを理解し、警察や福祉、医療機関への応援を行いましょう。
まとめ
子どもと接する際に、子どもがなぜそのような行動を取ってしまうのか、性格や成長度合いは様々ですがその行動傾向を知っているだけでも、落ち着いて対応できると思います。
それにより子育てのストレスの軽減にも繋がり、優しく接することが出来るかもしれません。
子どものため、自分自身のために子どもの発達や課題について勉強することは非常に重要であると感じました。
子どもの発達やその時々の傾向や発達の課題を知ることで、自分自身の子育てにも大きく繋げられるし、ストレスへの対応力もあがり、優しく子どもに接することが出来ると考えられる。
自分一人だけで問題を抱え込まずに、同じような悩みを持った人が集まるコミュニティーへの参加、カウンセラーを頼り孤立することを避ける。