子どもを育てることにおいて、心の強い人間に育てるにはどうすればよいのか?
このことは多くの親が考えることだと思います。対人関係の悩みは尽きず、イジメも無くなりません。また、SNSの使用がインフラとなりコミュニケーションの主なツールとなっている時代で、情報に対する向き合い方(自分の頭で考える)は非常に大切です。
このような情報多寡、他人とのコミュニケーション方法の変化が起こっている中でなぜ、心の強さが大事なのか?それは言うまでもなく
心の土台(能力)が頑丈な人間はストレスに強いからです
この土台となる部分は、自尊心・あきらめない心・自己肯定感・協調性(コミュニケーション能力)などです。
このことを
非認知能力といいます
非認知能力とは、上記のように知能テストでは測れないいわば「心の能力」です。
では、この心の土台である非認知能力をどのように伸ばしていけばいいのか?
今回の記事ではこの、幼少期での非認知能力の重要性や伸ばし方。また、今後の社会において今まで以上に大切になるということを書いていきたいと思います。
・認知能力と非認知能力はどちらも重要
・非認知能力は幼少期が大切で誰でも身に着けることができる
・何よりも大切なことは親の愛情
認知能力・非認知能力
非認知能力と対をなすものとして、認知能力があります。この認知能力も非常に重要なものです。
認知能力
認知能力とは、いわばテストで測ることができる能力です。算数や読み書きなどなど。学校で習う学習をしっかりと理解し、テストなどで正確にアウトプットする能力です。
今回、非認知能力が重要と書いていますが、この認知能力も大切であることに間違いありません。
「注意」「記憶」「言語理解」「知覚」「推論・判断」
この5つの機能が認知能力の要素ですが、物事に対する「注意力」、言語を理解、記憶してし正しく表現する「記憶力・理解力」、見聞きしたり触れたものを考えて判断する「知覚・推論・判断力」。
これらのことは、私たちが生きていく上で毎日のように繰り返していることであり、このことをしっかりできることで生活の質があがるのではないでしょうか。
非認知能力
「自尊心」「自己肯定感」「自制心」「協調性」「コミュニケーション能力」「思いやり」、、、、
挙げればたくさん出てきますが、これらの能力は知能検査では数値化することが難しく、いわば「人間性」です。
「意欲」「忍耐力」「セルフコントロール」「メタ認知」「社会的能力」「思考力」「リーダーシップ」「自己効力感」「コミュニケーション能力」、、、
挙げればほんとに多くありますね!
こういった非認知能力は認知能力よりも注目されにくいですが、子どもたちが人生をより豊かにするためには必要な能力であると言えます。
自己肯定感が高い人はうつ病になるリスクが低いですし、自制心や意欲が高い人は、自分で考えて行動することが出来るので、健康的で満足度の高い生活を送ることができるでしょう。
協調性(コミュニケーション能力)が高い人は対人関係の悩みが少なく、ストレスへの耐性も強いかもしれません。また、協調性が低くても自分で考える力や自己肯定感が高ければ、対人関係で悩むことも少ないでしょう。
これらのように「非認知能力」とは
他人に依存せずに自分の人生を生きる力
とも言い換えることが出来るでしょう。これは非常に大切ですね。
次からは、これからの社会ではなぜこの非認知能力が今まで以上に重要になるのか?幼少期から非認知能力を高めるにはどうすればよいのか見ていきます。
なぜ非認知能力なのか?
なぜ数値化できない非認知能力が注目されているのか?それは1960年代にアメリカで実施された「ペリー就学前プロジェクト」がきっかけとされています。
ペリー就学前プロジェクトとはアメリカミシガン州で3~4歳のアフリカ系アメリカ人の保育園や幼稚園に入る前の未就学児を対象に行われ、質の高い就学前教育を受けた未就学児と受けなった未就学児を比較、調査した研究です。
質の高い就学前教育の内容は
遊び中心の自発的な幼児教育や自主性を重んじる教育を実施したものでした。
研究に参加した子どもたちの追跡調査を行い、研究を受けていない子どもと比較して、学歴や認知能力に差はないにもかかわらず、より安定した社会生活を送っていることがわかりました。
すなわち、これはいきていく上で学力などの認知能力よりも非認知能力を高めることで将来より安定した生活が送れる可能性が高いということが示されました。そのことから「非認知能力」が注目されたきっかけとなりました。
これからの社会
これから社会は大きく変わることが予想されています。というかもうすでにそれは始まっているでしょう。
ロボットがする仕事が増える
この非認知能力はこれからの社会にはより必要になると言われています。
なぜかというと、世界は技術進化によりAI機能を搭載したロボット開発され、今よりもロボットが仕事を行うということが増えるでしょう。そうすると、単純作業や思考力や対応力を必要としない作業は、ロボットに取って代わられます。すると、人間が行う仕事は減り職業の在り方が大きく変わってしまうかもしれません。
このことから、思考力や判断力が乏しい人材は非常に苦しい思いをするかもしれません。もちろんロボットなどの科学技術の進化は素晴らしいことですが、それに対し我々人類も備えていかねばならないのです。
情報収集力・コミュニケーションの変化
これはすでに起こっていますが、今や対人間のコミュニケーションはSNS上で行われることが多くなりました。これは、多くの人と関われるという良い面もありますが、秘匿性が大きくなったことにより、誹謗中傷にあふれ、それがきっかけでとても悲しい出来事も起きてしまっています。また、情報も簡単に得ることが出来るようになったことで正確でない情報までもが世に出回って、間違った情報を信じてしまうということも起きかねません。
それらに対して我々はどうすべきか?それは、しっかりと自分を持ち、他人の評価を軸に生きないこと。また、情報を鵜呑みにせず、自分自身で調べて考える力が必要になります。
グローバルな人材が求められる
今後は国際的、グローバルな人材がより求められるでしょう。日本にも数多くの外国企業が進出しています。GAFAM(グーグル、Apple、Facebook(メタプラットフォーム)、Amazon、Microsoft)は全てがアメリカの企業であり、その他にも海外の大きな企業が日本にあります。
そのような企業が無い日本がダメだ、というのではなく、これらの企業のように世界的に大きなシェアをもつ企業が増えてきて、よりグローバルな人材が求められるようになるのです。日本だけで働くには選択肢が少ないうえに、今ある仕事が将来はなくなっているかもしれません。それに備えるためにも、対応力やコミュニケーション能力は非常に大切になってくるのです。
学力も大切、人間力はもっと大切
学力の三要素とは
「知能・技能」 「主体性・多様性・協働性」 「思考力・判断力・表現力」
です。
何年か前に大学の一次試験、いわゆる「センター試験」から「大学入学共通テスト」に変わりました。これは、ざっくり言えば、今までは「暗記・計算力」などが重視されていたものから「思考力・判断力・表現力」を重視する試験に変わってる。
ということです。
学力だけでなく、それを上手く表現するための力、非認知能力が大学入試にも非常に大切になってきています。また、これはまだまだ始まったばかりで、今後もっと加速していきます。そうなると、小中高での授業も変わってくるし、高校入試や中学入試もこの非認知能力を求められる問題が増えてくるでしょう。
もちろん、基本となる学力は大切です。しかし、それを十分に発揮するための能力こそ子どもの時に養っておく必要があることがこれらの事から分かります。
認知能力と非認知能力をかけ合わせよう
下の図は認知能力と非認知能力を分かりやすくした図ですが
この図のように二つが繋がってこそ大きな力を発揮します。
ではどやってこの非認知能力を伸ばしていけばいいのか?考えていきます。
親は子どものやっていることを否定せず見守る
このことは、簡単なようで非常に難しいです。
幼少期の子どもは常に夢(やりたいこと)に向かって動いています。
その時には、自ら考え、失敗を恐れずに行動し、またチャレンジしまくっているのです。しかし、それが危ないから、家事の邪魔になるから、親の都合もあるから。などなど、子どものやりたいことを妨げていては、せっかくの非認知能力を発揮している状態を阻害してしま、それは子どもの行動を完全に制限し非認知能力に蓋をしてしまいます。
もちろん、あまりにも危険であったり道理に外れていることは止めなければなりません。しかし、親は子どものために頑張って「放置」しなければなりません。ここでは「放棄」するのでなくしっかりと見守って「放置」するのです。
そして、子どもがやったことに対して全力で褒めてあげることで、子どもの自己肯定感は上がり、また褒められて嬉しいので意欲もわいてきます。
親が子どもを自由にさせて放置するのはかなり難しいです。愛する我が子が心配でないわけがありません。しかし、その愛情は子どもの成長を妨げることがあるので、子どもの成長のために親も頑張りましょう。
たくさん体験させる
子どもの感性を刺激させる体験をたくさんやらせてあげましょう。自然に触れさせる、様々な芸術に触れさせる。など、子どもが感動するような経験を幼少期にたくさん味合わせてあげることげ、子どもの感性は飛躍的に磨かれます。また、多年齢、多国籍の人たちとの交流も子どもの価値観を広げて、他人を認める能力を養わせます。
子どもは好奇心が旺盛ですから、体験したものが楽しければ突き詰めようとするかもしれません。そうなったら、ビッグチャンスです。そのやる気に対して全力で協力してあげましょう。
この時に注意することは、良かれと思ってあまり押し付けすぎないことです。
非認知能力を高めるには子どもが主体である必要があります。
そのため、子どもの興味をそそるようなアプローチをしてそれに応えるようにしましょう。親自身もあまり力を入れすぎず「何か当たればいいな」ぐらいのスタンスでいればいいと思います。
全力で愛する
子どもに対して全力で愛情を注ぎましょう。愛情をたくさん受けてきた子どもは他人に対しても優しく接する能力が育まれます。
子どもは親のことをよく観ています。愛情を与えられず、他人を批判したり悪口ばかり言っていれば、子どももそれをマネして、他人を傷つける人になってしまうかもしれません。そうならなくても、自己肯定感の低く常にストレスに押しつぶされそうな生活を送ることになれば、その子の人生はとても辛いものになります。
親や周囲の大人は子どもに対して大きな愛情を持って認めてあげましょう。子どもが失敗しても、励ましてあげましょう。自尊心や自己肯定感を与えてやることこそ、親や大人の大きな使命です。
まとめ
人間が生きていく上でとても重要な非認知能力。これは、認知能力と相互に作用することで大きな力を発揮すると思います。また、何よりも大切なことは
どれだけ親の愛情を与えてあげれるかです
いろいろと書きましたが、何よりもこれが一番大切だと思います。これから、訪れる激動の時代にも、子どもたちが逞しく幸せな人生を送るためにも、大きな愛情を持って応援していきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。